昨年の日本一球団・ヤクルトが圧倒的な力を見せ、優勝を果たしたプロ野球 2022のセパ交流戦。ペナントレースの結果だけでなく、オールスターの投票にも大きな影響を及ぼすので、チームとしても個人としても大きな意味を持つ18試合でした。
数年前までは交流戦順位でパリーグがセリーグを圧倒しており、セリーグ球団ではジャイアンツが唯一気を吐いているような状態でした。しかし2021年、2022年と2年連続でセリーグが勝ち越しを決め、セパそれぞれのリーグによる力の差が無くなってきていることが明確になってきています。
セパ交流戦は、リーグの垣根を越えてそれぞれ3連戦ずつを戦う18試合のみ組まれていますが、実は交流戦が開始した2005年には今よりも多く試合が組まれていました。では、なぜ交流戦の試合数が減少したのでしょうか。ペナントレースの順位に与える影響をもとに考察していきたいと思います。
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セパ交流戦の変遷
まずは、セパ交流戦の試合数の変遷を見ていきます。
2005年~2006年(36試合)
交流戦が始まったのが2005年。翌年の2006年までは、ホームとビジターで各3試合ずつの合計36試合が行われました。
2007年〜2014年(24試合)
2007年〜2014年は、ホーム2試合・ビジター2試合の全24試合制で行われました。各リーグを本拠地が北にある順に3ブロックに分け、主催する2チームの本拠地をビジターの2チームがそれぞれ移動するという、ブロック分けして順番に試合をしていたようです。
- セリーグ:「巨人・ヤクルト」、「横浜・中日」、「阪神・広島」
- パリーグ:「日ハム・楽天」、「西武・ロッテ」、「オリックス・ソフトバンク」
しかし、セリーグが主催の試合だからどうとか、基本は2勤1休で組まれるが土日は両方試合をするためには結局連戦になる、などなかなか理解が難しいものになっていました。さらに移動日数・回数も増え、デイゲームで試合をして、そのまま移動など、選手への負担が非常に大きくなっていました。
2015年以降(18試合)
2015年から現在にかけては、18試合制で行われています。それぞれの球団と3連戦を1カードずつ、6球団全てと対戦という仕組みです。
各年度セ・パ各球団は1カードずつしか対戦しないので、ホームかビジター、どちらかの球場のみの開催となり、開催していない球場は翌年開催されます。つまり、ホームとビジターが2年で、1セットという形になっています。これが普段のシーズンの戦い方とほとんど同じのため、選手への負担を考えるとベストな判断になるでしょう。
セパ交流戦の変遷まとめ
36試合で始まったセパ交流戦。日程の関係などもあり、試合数削減が必要となったことから、現在は当初の半分の試合数となっています。
個人的には以前の36試合制ですと、ファンも普段見られない対戦投手/打者との真剣勝負も見ることができ、楽しみも多いのではないかと考えてしまいます。ただ、短期決戦は短期決戦の楽しみも多いので、これからも一ファンとして楽しませてもらいたいと思います!
セパ交流戦とペナントレースの関係
ここからは、セパ交流戦の試合数が減った理由をペナントレースへの影響から考えていきます。
パリーグから見る交流戦とシーズンの結果との関係
2021年はオリックスは交流戦で12勝5敗1分け、勝率.706で11年ぶり2度目の交流戦優勝を飾りました。交流戦前の段階では負け越していましたが、交流戦を境にスイッチが入ったように調子を上げ、最終的には25年ぶりのリーグ優勝を果たしています。交流戦の戦いぶりがチームを勢いづかせ、そのまま優勝にも繋がったと言っても過言ではなさそうです。
また、パリーグではオリックス以外で唯一、交流戦期間中に勝ち越しを作った楽天も最終順位でAクラス入りを果たしました。この交流戦で波に乗ったチームがペナントレースでも上位に位置するという傾向は、試合数が削減される2014年以前にも見られていました。
解説者視点からの考察
5月25日に放送された『ニッポン放送ショウアップナイター 巨人-オリックス戦』で解説を務めた井端弘和さんは
「昨年セリーグが勝ち越し、日本シリーズを制した。それまでは(セパ交流戦で)負けると、なんとなく日本シリーズも負けるという感じだった。今回の交流戦もセリーグが勝ち越せば、日本一になるのはセリーグかなと。逆にパリーグが勝ち越せば、日本一になるのはパリーグのチームなのかなと考えやすそうな気がしますね」と見解を述べていました。
試合数の増減やリーグ優勝などには直接関係のない話かもしれませんが、交流戦の戦いがリーグ終了後の日本シリーズにまで影響があるだろうというのは解説者の肌感覚的にもあるのでしょう。
最後に
リーグの垣根を越えて行われるセパ交流戦での真剣勝負は、オールスターとは異なる魅力があります。井端さんも話しているように、日本シリーズにまで影響を及ぼす可能性のあるセパ交流戦ですので、各球団がどのような戦いをするのか、今後も楽しみにしたいですね。